第 5 回 glut1 異常症患者会 関西交流会のお話
7月 に開催された glut1 異常症患者会の関西交流会についてまとめます。
- 日付:2018 年 7 月 28 日(土)
- 場所:大阪大学医学部付属病院
はじめに
glut1 異常症患者会は 2 年に 1 回の総会と、その間の年に行われる交流会が行われます。総会に比べて交流会ではテーマや規模を抑えて開催されることが多いのですが、患者家族約 30 組、医療関係者・協力企業の方 10 数名と、とても盛況な交流会となりました。大きいことだけがいいことではありませんが、病気のことが広く知られて多くの方が参加されるのは望ましいことです。
この 8 月には 10 年の患者会の活動や、病気の悩みや食事のことなどが書かれた 10 周年記念誌も作製されました。とても充実した内容です。ご興味のある方は下記患者会まで連絡いただけると購入できると思います。
この 10 年間、このようなすばらしい交流会や勉強会、また企業や行政への働きかけなど、精力的な活動を続けていただいている患者会役員の方々、本当にありがとうございます。
プログラム
- ランチ
- 青天目先生ご講演
- 交流会
ランチ
今回は会場でもある阪大医学部附属病院の食堂にご協力いただいて貸し切りで利用させていただきました。ケトン食のメニュー(豚の生姜焼き or チキン照り焼き)を出していただいて先にランチを済ませました。
あまりお腹がすかずせっかくのメニューに乗り気ではないカンジ(もうちょっと写真とっとけばよかった)。
講演「GLUT1異常症・GLUT1欠損症の特徴について」
午後から会議室に移動しての講演と交流会です。
大阪大学大学院医学系研究科小児科学
GLUT1異常症患者会顧問 青天目 信 先生
(注)青天目先生と患者会の許可を得て、ここに発表資料を掲載させていただきます。当日参加できなかった方の参考になれば幸いです。当日の資料に加筆されていますので参加された方もぜひご覧ください。なお、この資料に関しては、無断転載はご遠慮ください。
発表の内容は資料を参照いただくとしてここでは感想を手短にまとめます。
- GLUT1 異常症・欠損症の病名:青天目先生のお話で始めて知ったのですが、この病気の日本語の正式名称が「GLUT1 欠損症」に決まったそうです。 患者会では、会の名称を変更するには膨大な手続きが必要なのでこのまま「glut1 異常症患者会」で通されるとのこと。訳が定まっていないために最初に診断された病院によって「~異常症」や「~欠損症」と呼ばれていましたが、正式名称が決まったのならこのブログでは今後は「GLUT1欠損症」を使うようにしようかなと思います。
- 検査・診断の糖の取り込み検査:資料にもありますが、糖の取り込み検査は準備や検査が大変で今現在は行われていません。赤血球膜上にも GLUT1 がいるのでそれで比較検査をするのですが、患者と近い月齢の健常児の協力も必要です(参考までに昔の記事はこちら)。
- 成長期の不調について:GLUT1 患者は思春期時期に体調が崩れることが多いのですが、その詳しい原因はわかっていないそうですが、ホルモンのバランスが関係しているのではないかと考えられているそうです。
交流会
続いて会場の席を円状に移動させて交流会の開始です。当日のテーマ(当日資料より)と感想です。
日中の生活の場において
- 保育所・幼稚園、学校
- 作業書・職場
- 病気の伝え方、先生や支援者への理解
- 食事の対応
- 給食支援、お弁当持参(保温・保冷)
- 補食のタイミング
- 宿泊行事の対応や交渉
給食の対応では妻がうちのケース体験をお話しました(過去に書いた内容で近いのはこちら)。ですが、自治体や学校によっては冷蔵庫や電子レンジを借りられないことも難しいこともあったりと、本当に悩ましいことも多いです。そういうときの交渉術についての実践的なお話も聞けました。
先生への伝え方でも考えさせられたのは、発作が起こったときの対応です。発作の頻度が高いと先生方もある程度わかってくれるようになるが、あまり発作がないと先生方も対処方法がわからないことです。発作が起こったときの基本的な対処方法は、気道を確保しゆらさず安静にさせること。カンジは発作がでないのでなおさら、万一のときのための準備が必要だと思いました。
食事療法について
- 日中活動の場
- 給食→除去食の方法、油の足し方など
- お弁当→内容の工夫等
- 自宅での食事
- ケトンフォーミュラの摂り方
- 食材・油の種類・甘味料
- レパートリーの増やし方
- おやつ・補食の工夫
- 家族・兄弟児への食事配慮
- 外出・旅行先での工夫
栄養士の先生や歯学部の先生のお話も聞けました。
その他
- 福祉、進路、リハビリ等
おわりに
短い時間にもかかわらず色々なお話が聞けてとても充実した交流会でした。役員の方々、本当にお疲れ様でした。