ウルトラカンジ

生後 7 ヶ月で GLUT1 欠損症と診断された男の子の成長日記、と GLUT1 やケトン食について

10月読書メーターまとめ

早いものでもう 11月ですね。11月に入ると年末まであっという間ですが、はやる時間にくさびを打つべく 10月読書のまとめ。

10月の読書メーター

読んだ本の数:4冊

読んだページ数:1406ページ

ローマ人の物語〈35〉最後の努力〈上〉 (新潮文庫)ローマ人の物語〈35〉最後の努力〈上〉 (新潮文庫)

久しぶりの「ローマ人〜」。3世紀末、ディオクレティアヌス帝による帝国の再編成。僕のように前皇帝の名前も思い出せないようなできの悪い読者でも、塩野さんはあたたかく迎えてくれる。必要に応じて過去を振り返って丁寧に解説してくれるので、すぐに物語世界に戻ることができる。またその解説も効果的。例えばディオクレティアヌス帝の税制改革をとっても、アウグストゥスの業績を振り返り比較することで、アウグストゥス税制の偉大さとディオクレティアヌス改革の抜本さの両方が手に取るように理解できる。

読了日:10月28日 著者:塩野 七生
砂の器〈下〉 (新潮文庫)砂の器〈下〉 (新潮文庫)

下巻一気読み。おもしろかった。おもしろかったけど、どうしてだか終わりに近づくに連れ、しおれる気球のようにふんわりと感心バロメーターが減少。やっぱり本格ミステリーは相性がよくないみたいです。ただし、今西さんは、最後まで男前でした。

読了日:10月22日 著者:松本 清張
砂の器〈上〉 (新潮文庫)砂の器〈上〉 (新潮文庫)

初めての松本清張。ものの価値や電車での移動時間などを気にしなければ、50年近くも前に書かれたことを感じさせない。逆にディテールが綿密な分、映像作品を見ているように感じる。今西さん(なぜかあえて「さん」づけしたくなる)の木訥としているようで、実は風流な人物がかっこいい。刑事としてみんなから一目置かれている様子も伝わってくる。この作品の映像作品はどれも見たことがないので純粋に楽しんでます。

読了日:10月18日 著者:松本 清張
日の名残り (ハヤカワepi文庫)日の名残り (ハヤカワepi文庫)

大屋敷で活躍した執事が旅をしながら過去を物語る独白体の小説。現在の旅はミス・ケントンとの再会が推進力となり、自由自在に過去と現在を行き来する思いは、品格について、自己についての省察が推進力になっている。圧巻なのは、洗練された語り口、自在に操られる時間軸、徐々にあらわになる真実。上品でもの悲しい物語だった。

読了日:10月09日 著者:カズオ イシグロ

読書メーター

初めて松本清張にチャレンジしてみました。下巻なんて速攻で読んでしまったので、とてもおもしろかったのですが、どうも僕は本格ミステリーと相性がよくないらしく、後味が残らないのが不満というか物足りない(社会派ミステリーなので多少後味は悪いんですけど)。その点からすると、カズオ・イシグロはすばらしかった。初めてでしたが、聞きしに勝る、グロカズ、です(誰もこんな風に呼ばないので要注意)。他のも読んでみたいと思いました。

ローマ人の物語」はずっとおつきあいしています。もう何年読んでるんでしょう。ハードカバー版はすでに出揃っていますが、文庫化のたびにちびりちびりと楽しんでいます。飽きもせず、退屈もしないでここまで読めているのは、ひとえに塩野七海さんの筆力のなせる技です。このまま帝国の崩壊まで見守ります。

最近は、浅く広く読書の網を広げています。森見登美彦とか、有川浩新刊もあさりたいし、まだあまり読んだことのない、古川日出男阿部和重なんかも読みたいです。

秋よ、もうしばらく待ってくれ。