ウルトラカンジ

生後 7 ヶ月で GLUT1 欠損症と診断された男の子の成長日記、と GLUT1 やケトン食について

9月読書メーターまとめ

前回ご紹介の読書メーターには、まとめ機能というのがあって、月末になるとその月に読んだ本をまとめてくれます。初めてその機能を使ってまとめてみます。

9月の読書メーター
読んだ本の数:5冊
読んだページ数:1339ページ

ゴーマニズム宣言SPECIAL天皇論ゴーマニズム宣言SPECIAL天皇論
久しぶりのゴー宣読了。今回も楽しみながら勉強させてもらった。まっすぐに天皇を論じた本で、本当に読んでよかったと思う。皇室に対してますます敬意が湧いた。天皇の祈りは深い。ただ欲を言えば、万世一系にも諸説があるよ的なことも豆知識に入れておいてくれればもう少しバランスがよくなるかと思った。ま、諸説分を差し引いても世界一継続しいている皇室であることに間違いはないんだろうし、本書がすばらしいことに変わりはない。子どもが大きくなったら読ませます。
読了日:09月28日 著者:小林 よしのり
おとうと (新潮文庫)おとうと (新潮文庫)
冒頭の鉄棒事件ひとつとっても各人物の描写が深くて感嘆する。主人公は姉(げん)であるが、弟(碧郎)の心理まで深く踏み込めているのは、三人称で描かれているためかと思う。相反する事柄に揺れる心理が度々描かれていてうまい。作中2年がぽっと経過したところから物語の主軸が看病中心となるが、繊細は心理描写はますます研ぎ澄まされ、中でも鍋焼きうどんは、弟と姉の色んな感情が入り交じった象徴的なエピソードで、とても痛ましい。最後にお断りを。なぜだかずっと幸田フミと思っていたが「アヤ」だったんですね。アヤ姉さんごめんなさい。
読了日:09月26日 著者:幸田 文
博士の愛した数式 (新潮文庫)博士の愛した数式 (新潮文庫)
初めての小川さん。巻末解説その他の記事などでうかがえる優しく誠実で真摯であろう人柄が作品からもにじみ出ていて、読んでいてとても心地よかった。語り口が丁寧で、数学者の数への敬意と同じように、小川さんの言葉への敬意も感じた。何気ない夕方の情景やルートと博士のやりとりもとてもきれいで、抑えに抑えたトーンがより一層の感動を誘う。最後のシーンなんて情景としては淡々としたものだけれど、ちょっと泣きそうになった。いい作品に巡り会いました。
読了日:09月16日 著者:小川 洋子
人間失格 (新潮文庫 (た-2-5))人間失格 (新潮文庫 (た-2-5))
初読。できればもう二度と読みたくない。ここには真っ向から否定できる人間不信と、真っ向から肯定できる真理を探究する姿がある。どちらもできれば目を背けて過ごしたい。けれど、ときに両方が同時に見えてしまうことがある。本書にはそんな醜い人間の本性と鋭敏な思考の瞬間が幾度も出てくる。ディープでダークでドープな物語。「ひきがえる」の詩句には赤面せずともはっとしたが、かと言って「水底の岩」に落ち着きたいわけでもなく、なんとなく「ちっ」と舌打ちしたくなるような読後感だった。
読了日:09月09日 著者:太宰 治
斜陽 (新潮文庫)斜陽 (新潮文庫)
ママ、かず子、直治、上原。本当のところ誰に共感できるわけでもないけれど、とても美しい小説。まるで精密なガラス細工のように、手を出すとぼろぼろ崩れ落ちそうな、きわどいバランスの上に出来上がった作品。細部は見れば見るほど美しい。息を潜めて読んでいたような気がした。
読了日:09月03日 著者:太宰 治

読書メーター

正直、月に 5冊は多い方です。最後の 2冊は引きこもりしていたので読み終えました。今月はどれもおもしろかったですが、この中で一番読みやすくておもしろかったものを上げるなら、やはり、「博士の愛した数式」です。第一回本屋大賞は伊達ではないです。それと、「斜陽」。高校以来の太宰治でしたが、研ぎ澄まされた文章にやられます。

こんな感じで 10月以降もまとめてみます。