ウルトラカンジ

生後 7 ヶ月で GLUT1 欠損症と診断された男の子の成長日記、と GLUT1 やケトン食について

てぃおくんのケース

今回は、以前このブログ経由で連絡をいただいた、カンジと同じ glut1異常症の患者さんのお話をご紹介します(遅くなってしまいましたが・・・)。

連絡をいただいたのはアメリカにお住まいの日本の方で、ご紹介するのはそのお子さん、てぃおくんです。

イギリス生まれアメリカ育ちのてぃおくんは、今年 2012年4月、11歳で glut1異常症の診断をされました。

glut1異常症と診断されるまでは、多くの医師に何度も診察され検査をされ、「治療法はない」と言われたこともあったそうです。 glut1 と診断が下されるまでは、どこのサポートグループにも属することができなかったので、誰に相談することも情報を共有することもできず、てぃおくん家族は本当に孤立されていたそうです。

それが、この4月 glut1 異常症と診断されたことで、アメリカの glut1 の患者会(Glut1 Deficiency Foundation)に出会うことができ、他の多くのご家族や医師と交流できるようになりました。

その Glut1 D Foundation 主催のシンポジウムに参加されたてぃおくんご家族は Dr. パスカルに出会われ、その先生の研究にも参加することになりました(ちなみに、そのシンポジウムは今年7月インディアナ州で開かれ、スペインやスコットランド、カナダなどからご家族含めて148名も集まられたそうです!)。

ケトン食療法を始める前に Dr. パスカルに出会ったてぃおくんは、C7 というオイルを飲む治療法を実践することになりました。C7 というのは、僕も初めて聞きましたが、「トライヘプタノーエンオイル(triheptanoin oil)」というもので、ヨーロッパではバターを識別する際に使われる、人体には影響のないオイルだそうです。

てぃおくんは、普段は通常の食事をしつつ、治療のためにこの C7 オイルを飲んでいるそうです。1回25〜30ML を1日4回投薬されています(少し前の情報なので今は分量が違うかもしれないですが)。C7 を飲んでから、それまであった電池切れのようにぐったりする状態も、腰から下がふらつくことも減り、いつもご機嫌で過ごす時間も長くなり、家のお手伝いまではじめるようになったそうです。

そのお話を聞いてふと思いましたが、このような症状の改善の仕方ってケトン食療法をはじめた国内の方々の様子と同じですよね?C7 はオイルということですから、治療方法は根本的にケトン食と同じなのかも知れないですね。もし効果も同じなら、普通の食事ができるという点でうちもぜひトライしてみたくなります。うちの食いしん坊のカンジに普通の食事を食べさせられることができたら、どんなに喜んであれもこれもと食べ物をほおばるでしょう!

いやまあ、食事療法は医師や栄養士とも一緒にがんばっている食事治療なので、もちろん勝手なことはできないですけど、こうしてまた別の治療法もあると知るだけでも、なんだか希望が湧いてきます。

それから、てぃおくんの先生、Dr. パスカルのチームは、 glut1 の症状を軽減することが目的ではなく、完治することを目的とされているそうです。僕たち家族なんかは「先天性代謝異常」なんて仰々しい名前を聞いたときには、へなへなとなったものですが、どういう理屈で完治できるのかはわかりませんけど、そうおっしゃる医師もおられるのですから、いつか glut1 異常症は治療できる病気と言われるかも知れませんね。

そう言えば、先日ノーベル賞を受賞された山中教授の iPS 細胞の話も、難病を持つ人には明るいニュースでした。

glut1 の方もまだ診断のついていない他のご病気の方も、希望を持って進みましょう。