ウルトラカンジ

生後 7 ヶ月で GLUT1 欠損症と診断された男の子の成長日記、と GLUT1 やケトン食について

Glut1 異常症患者会関西交流会 in 阪大病院

ご無沙汰しております。カンジのパパです。

今日は大阪大学医学部付属(阪大病院)で行われた、Glut1 異常症患者会の関西交流会に参加してきました。

久しぶりにお会いする方や初めてお会いする方、患者会には入られていない方、Glut1 ではないけどケトン食療法をされている方々とお会いしました。4名の先生と、大体13家族ぐらいが参加されていたでしょうか。

今日来られてた方の患者さんたちは、2歳から17歳で(全員一緒に来られてたわけではないけど)、年齢も症状も異なるので、各家庭の悩みや体験談を色々と聞けてとても参考になりました。

全部をまとめて書けないのでちょっとした感想をつらつらと。

  • やっぱり悩みの大部分は食事療法
    ケトン食やアトキンス療法によって患者さんの様子は改善するけど、食事の問題はどこに行ってもいくつになってもついて回る問題なので、食事の準備は本当に大変。ケトン比だけではなくカロリー制限も関わってくると、新しい商品でもどちらかの制約に引っかかって食べられないこともある。
      
  • みんながみんな、シビアな食事制限をしているわけではない
    もちろん、できる家庭はケトン比を計算して食事療法をしているけれども、ざっくりと炭水化物を減らして脂肪分を増やすような食事をされている方も少なくない。うちもかなりざっくり派で、ケトン食療法よりアトキンス療法に近いんじゃないかと思います。それは患者さんによって症状が異なりますから、今の食事でケトン体が出ていて様子が安定していれば、無理に厳しい食事制限をしなくてもいいのかも知れません。というか、患者さんにとってもご家族にとってもできないものはできないですよね。
    ただし、きちんと計算することにもメリットもあって、計算するとフルーツがもう少し食べられるとか、白米もある程度食べられるとか 、今更ですけど、そんなことも改めて気づきました。

  • やっぱりまだまだわからないことが多い
    ケトン食療法をいつまで続ける必要があるのか、途中でやめたらどうなるか、長期間続けて健康面で問題はないのか、などなど、 やっぱりまだわからないことは多いようです。基本的にはやめられる治療法ではないようですけれども。他にも遺伝子検査で異常が見つからない場合もあるとか、驚きです。遺伝子レベルでもいくつかのパターンがあるということなんでしょうか??
      
  • 周りを巻き込む話
    学校行事などで遠足や旅行に行くとき、事前に学校や宿泊先、市役所などと連携を取って、介護補助や栄養士さんをつけてもらえるように調整し、他の生徒たちと同じ経験を子ども(患者)にもさせる、というお話を聞けました。これは患者の権利という観点も本当に大事なことですよね。市や学校の予算とか、色々と問題はあるようですが、使える制度は使って、患者がハンディキャップを感じない(ハンディキャップがあっても他の仕組みで補う)ことって、患者にとってとても大事で、健常児と同じ体験をするというのは、当たり前のことなんじゃないかと思います。
    また、特別なことがなくても、普段から介護補助や調理補助を使うのは、社会に病気のことを知ってもらう機会にもなるし、家族の負担軽減にもなるし、いいですよね、と僕も思いました。そういう仕組みは、まだまだ「ありがたい」と思われて敬遠されがちかもわかりませんが、使える仕組みは使いたいですね。

  • ケトン体
    食事療法がうまく入ってるかどうかの目安として、患者からケトン体がでているかどうかを見ますが、それはケトスティックで測れる尿中のケトンより、血中ケトン体、特にβヒドロキシ酪酸(でしたっけ?)の方が正確です、というお話が先生からありました。尿に出やすいひとと出にくい人もいるので、βヒドロキシ酪酸の値が低くても、尿中ケトンは3や4が出ることもあるようです。
      
  • ケトンフォーミュラ
    2011年まで明治乳業の好意で無償で提供してもらっていたケトンフォーミュラは、2012年度からは、特殊ミルク共同安全開発事業の登録ミルクになったことで、Glut1 の患者には、無償で提供されることが制度化されたそうです。全然知りませんでした。明治乳業さんにも、制度化に尽力された方にも感謝です。

最後に、個人的に一番気になっていた C7 オイルについて

ひとつ前のエントリーにも書いた、気になる C7 オイルについて患者会の顧問の先生からお話を聞けました。

C7 オイルは、トリヘプタノインとも言われていて、この10年くらいで色々な病気(心筋症やミトコンドリアの異常など)にも使われるようになっているそうです。

C7 の「C」は「炭素」のことで、炭素の数が7個ということ。普段使用している油は炭素の数が20個くらいの長鎖脂肪酸と言って、ケトンフォーミュラは真ん中の中鎖脂肪酸と言う。この炭素の数が短いほど、ケトン体を発生させるのに効果的なので、普通の食事をしていても、C7 オイルを取ることでケトン体が出るというのは、理にかなっている、ということでした。(ほほー!なるほど!)

では、この炭素の数がもっと少なければいいかと言うと、そうでもなくて、もっと炭素が少ないオイルを摂ると極度に下痢をしやすくなるそうです。

まだ長期的に C7 オイルを使った症例もないため、副作用の問題の研究を進めるとか、大学の倫理委員会にかけるなど、日本ですぐにこの治療を始めることは難しいけれども、試してみる価値は大いにあるのではないか、とのことでした。

(おおー!)

他にももう少しありましたけども、それはまた別で書きます。

というわけで以上、関西交流会レポートでした。

Glut1 異常症の交流会で受付をするカンジ(笑)。今日も貴重なお話を一杯聞けました。

阪大病院到着。今日は三男の病気の交流会に参加します。