ウルトラカンジ

生後 7 ヶ月で GLUT1 欠損症と診断された男の子の成長日記、と GLUT1 やケトン食について

改めて Glut1 異常症(欠損症)とは

Glut1 異常症とは

グルコーストランスポーター 1 という、血液中のブドウ糖を脳に送る働きをする酵素が十分に機能しない病気です。ブドウ糖を主な栄養とする脳が栄養不足になり、てんかん発作や、発達遅滞、発達障害など様々な神経症状の原因になり得ます。先天性代謝異常に分類されます。
病名としては、Glut1 異常症や欠損症と呼ばれます。

検査方法

検査方法は髄液検査と血液検査があります。髄液検査では髄液中の糖が低いことを検査します。ただし、痛い痛い髄液注射が必要で患者に非常に大きな負担がかかるので頻繁にはできません。カンジは一度だけ髄液検査をしました。

血液検査では、赤血球の糖の取り込み検査を健常者と比較して行います。グルコーストランスポーター 1 酵素(以下、Glut1)は髄液中にあるものも血液中にあるものも同じであり、赤血球への糖の取り込み機能が低ければ、髄液中への取り込み機能も同じように低くなり、脳への供給機能も同じように低い、という検査です。

カンジの場合、友だちの子どもの中で一番近い生まれ月の女の子に、朝から空腹状態で一緒に病院に行ってもらって採血してもらい、糖の取り込み検査をしてもらいました。カンジはこの検査結果の数値が女の子の半分以下でした。ちなみにこの検査で Glut1 異常症と確定診断されました。

症状

症状は患者さんによってまちまちなので、一概には言えないですが、以下のような症例があります。

  • てんかん発作
    カンジの場合発作がきっかけとなり、この病気がうたがわれました。
  • 運動失調、不随意運動
    体の細かい動きのコントロールがうまくできない。ふらつきがあったり、足や腰にうまく力を入れることができない。ゆっくりとしたしゃべり方も見られます。
  • 眼球運動
    眼球がぐるぐるまわる。
  • 感覚障害
    痛みに鈍いなど。

治療法

体内でエネルギーを消費する優先順位は決まっています。最初に、糖、次に脂肪です。糖、つまり糖分や炭水化物があれば、それらから消費し、なくなれば脂肪を使います。脳は体よりも糖を主なエネルギー源として消費することはよく知られていることですが(受験生がテスト前に甘いものを食べるとか)、脳は脂肪を消費して発生するケトン体もエネルギー源とすることができます。糖が十分にあると脂肪は消費されずケトン体も発生しないので、あえて糖を減らし、脂肪を消費してケトン体を発生させ、脳に安定的にエネルギーを供給する方法がケトン食療法です。

また、このケトン体がてんかん発作をおさえる効果があることが知られていて、最近では認知症にも効果があることがわかってきたようです。

日本の患者

日本の患者数は 50〜60 例くらいのようです。カンジが診断された 7 年前は 20 数例だったので、徐々に多くの患者が診断されているようです。でもまだまだ診断されていない潜在的な患者さんがおられることも推測されるので、この病気が広く認知されることを望みます。

海外での患者数も日本と同じように最近に認知が進んで徐々に増えているようですが、わかっているだけで全世界で 500 例という記述もありました(少ないですね。少し情報が古いのか、症例としての情報が正しく把握されていないのかも知れないですが)。

患者会

症例や情報が少ないので、我が家では患者会に加入しています。総会以外にも地域ごとの交流会もあります。患者会内部だけでなく、患者会として、厚生省と情報交換されたり、てんかん学会や他の病気の患者会と交流されたり、患者会の役員の方々にはいつも感謝しきりです。患者会のリンクはこちらです。より詳しい情報が必要な方はぜひ一度ご連絡してみてください。

参考資料