ウルトラカンジ

生後 7 ヶ月で GLUT1 欠損症と診断された男の子の成長日記、と GLUT1 やケトン食について

小児慢性特定疾患についての調べもの

患者会総会で発表したネタです。
せっかくなのでここにも書いておきます。

1) はじめに
小児慢性特定疾患治療研究事業という長い名前の国の研究事業があります。完治が困難だとされる特定の病気だと認定されると、医療費の一部補助を受けることができる制度です。認定は1年ごとに更新されます。

その特定の病気の中には「glut1 異常症」の病名が掲載されていないので、地域によって認定されたりされなかったりすることがあるのか?また一度認定されても更新時に認定されないことがあるのか?ということを調べました。

2) 事業の目的
・患者家族の医療費負担補助
・特定の病気として認定することで研究を促進する(お医者さんに研究してもらう)
※この「目的」については各自治体の説明文がややぎこちなくてわかりにくいんですが、簡単にはそういうことだと思います。

3) 実施主体
「小児慢性特定疾患」で検索すると都道府県の HP がヒットするように、国(厚生労働省)のまとめるガイドラインに沿って、各自治体が実施しています。つまり、方針は厚生労働省が取りまとめ、申請・認定などの手続きは自治体で行っているということだと思います。

4) 対象疾患(グループ)
慢性腎疾患、慢性呼吸器疾患、糖尿病など 11 のグループがあり、その中の「先天性代謝異常」に glut1 異常症が含まれます。具体的には「その他先天性代謝異常」という項目の、「50. 特定の欠損(活性異常)酵素名を冠したすべての疾患」に該当します(後述)。

5) 疑問と回答
「特定の欠損酵素名を冠したすべての疾患」に該当すると言われてもなんだか心配なので以下について厚生労働省に問い合わせしました。

①「glut1 異常症」の病名で小児慢性疾患を受けることができるのか?
②一度認定されれば次の更新でも必ず認定されるか?

回答はそれぞれ以下の通りでした。

①先天性代謝異常の疾患をすべて表記するのは困難なのでひとつにまとめているが、個別の疾患名がないからといって対象から除外されることはありません(つまり、glut1 の病名では認定されないが、必ず「その他先天性代謝異常」としてされる)

②引き続き治療を必要とし、当該疾患が告示上の基準を満たしているのであれば認定対象となります(告示上の基準を満たす = glut1 異常症と診断されること、なので、こちらも突然認定されなくなるという心配はいらないようです)

6) おわりに
もし、glut1 異常症の申請で認定されなかったという方がおられたらご連絡ください。認定しなかった首長に掛け合ってみます。今のところそのようなケースはないようですが。

<参考 URL>
こどもケア.com
http://www.kodomo-care.com/iroiro/index.html

厚生労働省 小児慢性特定疾患治療研究事業の概要 
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/boshi-hoken05/index.html

大阪府 小児慢性特定疾患治療研究事業(自治体の一例として)
http://www.pref.osaka.jp/kenkozukuri/boshi/shouman.html#03